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子供型アンドロイドAffetto開発状況

子供型アンドロイドAffetto(アフェット)は、石原が博士後期課程の学生だった2009年に企画を立ち上げ、その後学生さんも含む多くの方々の協力を得ながら開発を続けているロボットです。2024年4月時点での最新機は、頭部は3号機、上半身は4号機(未発表)、脚部は1号機です。頭部1号機は電気モータ駆動、それ以外はすべて空気圧駆動です。このページでは、開発状況を時間を遡る順で紹介します。

顔の最新機(3号機)

機械部分と皮膚の安定版。この機体で皮膚の動きが安定し、また皮膚を傷めずに長時間動かせるようになったことで、顔を操るソフトウェア(表情生成アルゴリズム)の研究に入ることができました。

波の重ね合わせによる気分表現の自動合成(2024)

新たに開発した動的表情合成アルゴリズムを頭部3号機で試した成果の解説動画です。動的表情合成は、表情を伝える顔の動きを合成的な手段によって得る手法を指します。このアルゴリズムは、様々な仕草を個別の波として表し、それらの波を重ね合わせて顔の適切な部分の動きとするものです。仕草ごとの波形を変調させることで、眠たい状態から興奮した状態までの気分の変化を表現できることを確認しました。

滑らかな連動表現のテスト(2022)

いくつかの連動的な表現を頭部3号機で試している様子です。瞼と眼球の動きの連動、首と視線の連動、顎と首の連動、口角と顎と瞼の連動などを実装し、滑らかに動かした際にどのような印象になるかを確認しました。この頭部は上半身4号機に載せていますが、このときには上半身は動かしていません。

姿勢バリエーションのテスト(2020)

静止画像のスライドショーのように、いくつかの静止顔を次々に切り替えて表示している様子です。間欠的な動きになるためぎこちない印象になりますが、顔の表情のバリエーションを把握するのには適しています。

各顔部位の動きのテスト(2020)

頭部に内蔵している多数の皮膚移動機構をひとつずつ動かして,顔皮膚の動きの単位がどのように見えるかを確認している様子です.

皮膚運動の計測(2020)

皮膚の動きを精密に評価するため、顔の192点の動きをモーションキャプチャ装置で計測しているところです。

頭部2号機

機械部分の安定版。様々な動きを試せるようになったことで、顔の内部機構に被せた皮膚の耐久性を試すことができるようになりました。

触覚センサとの接続テスト(2020)

研究室で開発した柔軟触覚センサと頭部を繋げて動かした様子です。触覚センサに加わっている(と推定される)力がほぼ無い場合には無表情を、一定以上の力がかかった場合には目を閉じて顎を開けるポーズを、そしてさらに大きな力がかかった場合には口を強く閉じるポーズを出すように設定しています。触覚センサの精度や接続プログラム処理速度の問題で、実際にセンサに触れる前に顔が反応してしまう場合がありました。

動作の滑らかさや皮膚の耐久性のテスト(2018)

さまざまな動きをさせて顔の各部分がどれだけ滑らかに動くか、また皮膚の耐久性は十分かを確認している様子です。テストの結果、口角辺りの皮膚が過度に引っ張られて亀裂が生じたり、上瞼がめくれ上がることが判明しました。頭部3号機は、株式会社A-Labの技術協力のもと、これらの問題を解決したものです。

機敏性のテスト(2018)

顔に送る姿勢指令値を急に切り替えたときにどれだけ速く顔が動くかを試している様子です。このときはまだ口角の皮膚に亀裂は入っていません。頭部2号機から、設計開発は株式会社A-Labの技術協力を受けています。どの動きを実装するか、各部の寸法や外見印象をどうするかなどの仕様決定と監修は石原が担当しました。

上半身3号機

アクチュエータ配置確定版。ここまでは研究室で設計開発を完結させていました。最低限の関節剛性と機敏性を持たせつつ、なるべく多くの関節を搭載させるための設計が固まったため、4号機からは外部企業に開発委託できるようになりました。

脚部との接続テスト(2015)

脚部と接続して機構干渉が起きないかを試している様子です。
組付けが終わったところ.

脚部1号機

空気圧で駆動する直動アクチュエータ(エアシリンダ)と回転揺動アクチュエータ(エアベーンアクチュエータ)を組み合わせた小型の脚。卒業生の豊山翔平君が卒業研究および修論研究で設計開発に取り組んでくれました。広い可動範囲と関節柔軟性(外力が加わってもエアシリンダの軸に大きな曲げ力が入らず柔らかさを保つ)をコンパクトな機体で実現する設計にはどうにか目途が立った一方で、関節柔軟性に起因する振動や運動位相のずれを抑制する工夫をどう組み込むかという課題が見えました。

5自由度連動実験(2015)

上半身2号機

骨形状カバー搭載版。

機構カバーの機構干渉チェック(2015)

空気圧で駆動する直動アクチュエータ(エアシリンダ)と回転揺動アクチュエータ(エアベーンアクチュエータ)を用いた関節機構をコンパクトに詰め込んだ上半身です。将来的な皮膚の実装も考慮して取り付けた、骨のような形状の機構カバーが、内部の機械部品に干渉してしまわないかを確認している様子です。

動作印象と出力のテスト(2013)

衣服を着させて機械部分がなるべく見えないようにした状態でどのように動くか(動画前半)、ひっくり返したりして無理な姿勢を取らせたときにどう動くか(動画後半)を確かめている様子です。
空気圧配管を通しているところ。

機構設計(2012)

直動アクチュエータ(エアシリンダ)の直線運動を関節の回転運動に変換するために揺動スライダクランク機構を用いたため、運動中には直動アクチュエータ自体も回転軸周りに動きます。どのような姿勢をとっても直動アクチュエータが他の部分にあたることのないように、CAD上で様々な姿勢を取らせながら機構設計を詰めていきました。

上半身1号機

機構カバーや顔皮膚の取り付けテスト(2012)

体の動きを妨げないように骨形状の機構カバーをつけることができそうか、顔に皮膚をつけたり,服を着させるとどのような印象になるかを試している様子です。

体幹の強さと柔らかさのテスト(2011)

体の姿勢を支える体幹の力や、人が安心して触れられるような関節の柔らかさが備わっているかを確認している様子です。体幹を支える力が足りないことが判明したため、2号機ではより出力の高いアクチュエータを採用することにしました。
 
パワフルなので腹部のアクチュエータだけで前進しました。

機構干渉チェック(2011)

アクチュエータをリンク機構で連結させた状態で各関節の可動域と機構干渉の有無を確認している様子です。アクチュエータには圧縮空気を送っていない状態です。

機構設計(2011)

設計完了時のCAD図です。
欲張って手指機構も設計していた版。
CADを描く前のスケッチ。人がどこを触っても、その力がいずれかのエアアクチュエータの出力軸に入力されて柔らかく受け止められるような関節軸とアクチュエータの配置を検討しました。
 
 

顔の1号機

皮膚運動テスト(2010)

皮膚移動機構を動かしたときに、皮膚がどのように動くかを確かめているようすです。内部の機構を作ったときには予想していなかった皮膚の動きが現れたため、皮膚運動の制御の難しさを痛感するきっかけとなりました。内部の機構も、顔皮膚も石原の手作りです。
 

皮膚マスクの作成(2010)

雌型を外して皮膚マスクを取り出す前に、マスクの変形の仕方を確認している様子です。
雄雌型を作るために作成した粘土像。顔の機械部分がすべて収まるように作りました。

皮膚移動機構の動作テスト(2010)

内部機構を始めてアクチュエータ(電気モータ)で動かしたときの様子です。皮膚を載せるためのシェル(FRP製)がついています。ぶら下がっている紐とリングは皮膚を牽引するためのものです。上下唇を突き出すための機構もつけました。

内部機構の設計開発(2010)

皮膚を載せるシェルをつける前の様子です。皮膚までを搭載したアンドロイドを一通り作って工程上の問題を把握するための検証機なのでつくりは非常に単純です。
寸法検討のためのスケッチ

粘土造形と皮膚マスク作成の練習(2009)

Affetto開発プロジェクトの開始にあたり、最初にやったのは粘土造形と、それを皮膚マスクにする工程の練習でした。工学研究の範疇でロボットを作りたいのに感覚頼りになってしまうということの問題意識を感じながら作っていました。先は長いなと思いました。